実家に子どもと二人で帰ったので、母は驚きました。
何があったのかと聞かれましたが、
心配をかけたくなくて、当たりさわりのない理由を伝えました。
「四、五日したら帰るから」と。
夜、夫から電話がありました。
帰宅したら、私と子どもがいない。
姑もまだ帰っていない。
「いま、どこにいるの?」
洗い物をしている母の背中を見ながら、
「無事に着いたよ。また電話するね」とだけ答えました。
理由は言わないまま、子どもに代わりました。
きっと、姑が帰ってきたら何か言い合いになるのだろう。
そう思いながらも、
不思議と気持ちは静かでした。
穏やかな時間は、あっという間に過ぎました。
帰る日が来ると、家が近づくにつれて胸がざわつきます。
怒られるかもしれない。
責められるかもしれない。
玄関を開けると、姑がいました。
子どもは笑って、おみやげを差し出します。
気づけば「ごめんなさい」と言っていました。
姑も「いいえ、私のほうこそ」と。
お互い、気持ちを薄い膜で包むようにして、
また日常が始まりました。
ただ、生活費の話だけは、そのままでした。
私は子どもが幼稚園に行っている間、
できる仕事を始めました。
家計のためというより、
外の空気を吸うためだったのかもしれません。
買い物をして、
ママ友とランチをして、
ときどき、姑の話をこぼしました。
そうしないと、
胸の中のため息が、消えなかったからです。


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