ほぼワンオペで子育てをしていても、
まだ無理のきく年齢だったのでしょう。
短時間のパートをしながら、何とか生活を回していました。
ところがある日、片付けをしている最中に、
誤って頭を強く打ってしまいました。
一瞬動けず、その場に倒れ込んでしまうほどでした。
そのときは痛みだけでしたが、
その夜、激しいめまいと吐き気に襲われ、病院へ運ばれました。
MRIを撮っても異常は見つかりませんでした。
一晩中点滴を受けましたが症状はすぐには治まらず、
ほとんど眠れないまま朝を迎えました。
ようやく落ち着いた頃、帰宅しました。
けれど、このことをきっかけに体調が不安定になりました。
理由のわからない不安感。
車酔いのような気持ちの悪さ。
薬を飲んでも治らない頭痛。
食欲もなく、体を動かすのもつらい日が続きました。
病院や接骨院をいくつも回り、
むち打ちのような状態だろうと言われました。
完全に治るには時間がかかるとも。
結局、パートの仕事は辞めることになりました。
ある日、通院のため電車に乗ったとき、
突然気分が悪くなり、冷や汗が出て、その場に座り込んでしまいました。
意識が遠のいたこともありました。
今でも思い出すのは、
意識が途切れる前、なぜかぎゅっと目を閉じずにはいられなかったことです。
一度は目を開けましたが、
次に気づいたときには電車のシートに座っていました。
そばに立っていた人が席を譲ってくれるよう頼んでくれて、
運んでくれたそうです。
付き添ってくれていた義妹が、あとで教えてくれました。
それでも、途中下車を繰り返しながら
なんとか家に帰りました。
それ以来、電車が怖くなりました。
三十年近く経った今でも、乗るときは緊張します。
何種類もの常備薬を持っていないと不安になります。
人はいつか終わるのだと、
ふと現実味をもって感じることがあります。
あの時のように、あのまま意識が戻らずに逝けるのなら、
死ぬことは怖くないのかもしれない――
そんなことを思ったのも、確かです。

コメント