あの時、言い争いをした記憶はありません。
ただ、反論できなかった、受け入れるしかないのだろう、
そんなあきらめに似た感情が、静かに湧きました。
それは、結婚式の日のことです。
三年の遠距離交際を経て結婚しました。
私は一人暮らし、彼は実家暮らし。
当然のように、私は彼の実家で三世代同居を始めました。
同居して一週間後が結婚式。
引っ越しの荷ほどきも終わらないまま、
式の準備やご近所へのご挨拶に追われ、
ただ目の前のことを、こなしていました。
式の当日、打ち合わせ通りに記念写真を撮り終えた後、
姑がふいに言いました。
「費用は出すから、私と二人で写真を撮りましょう」
一瞬、戸惑いました。
けれど時間も押していて、場の流れも止められず、
そのまま従いました。
出来上がった写真の私は、少し硬い表情でした。
その写真を見ながら、姑が言いました。
「何だかおすましした顔ね。お友達に見せるのを楽しみにしていたのに」
その瞬間、胸の奥が静かにざわつきました。
怒られたわけではないのに、なぜか謝らなければいけない気がしました。
顔の広い姑の、”自慢の嫁”にならなければいけないのだと
その時、思ったのかもしれません。

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